2007年01月21日(日)
お見送り [今もそこにある光]
あいつと付き合うことになったその日に、一度両親に会ってくれと云われて、オレは迷うことなくOKした。
よくよく考えれば、自分とほぼ同い年のおっさんが、自分の息子の“彼氏”として訪れたのだ、母親は快く迎えてくれたようだが、父親の方はどんな心境だったのだろうか?
あいつの両親に会うために帯広へ行くと決めた日はあいつが東京へメル友に会いに遊びに行く日の前の日。東京行きの見送りをかねて敢えてこの日を選んだのだ。
あいつはオレと付き合う前、そして、付き合ってからもたびたびメル友に会いに出掛けていた。もちろん一応はオレに断りを入れて、だ。
オレはあいつを縛るつもりはなかったし、信用もしていたのでそれを容認していた。
だが、それと同時に心配もしていた。
あいつのことは信用していても、あいつが会いに行く相手はオレにとっては見ず知らずの相手。心配になるのは当たり前だろう。
それでもこの東京旅行にはそれほど心配する必要はなかった。
会いに行く相手はあいつがオレと付き合う前からメル友としてかなりの信頼を置いている相手だったし、何よりも付き合っている相手も一緒とだと云うこと。そして、東京行きに際してその相手からオレにも挨拶のメールがあったのだ。
ディズニーランドへ連れて行ってくれると云うことに、オレが連れて行ってやれないその負い目を胸に秘めて、その翌朝、帯広空港へ。そしてあいつは飛び立って行った。
と、実はここからが笑い話。
あいつを見送ったあと、しばし余韻に浸り、さて帰ろうとしたところ、帯広空港から出ているバスの便は1時間に1本。飛行機が到着し、その降りてきた客を乗せて行くためだけにあり、それは既に行ってしまっていた。
仕方なくオレは、空港の待合室で何をするでもなく時間を潰し、次の到着便を待ち、更に時間をかけて帯広駅へ戻り、帰路についた。
ひとりの帰り道は、虚しく、寂しいものだった…。
そして今オレは、遠い空の下でアイツのことを思いながら心配しているのだ。相も変わらずに…。
こんなことを書いたらまた叱られるかも知れないが、オレは今もあいつには何もしてやれなかったと思っている。いや、大したことはしてやれなかった、と云うべきかな。
大事なのはモノではないのは知っている。心の中に残っている、それだけでいいのかも知れない。
それでもオレは、やっぱり何かをしてあげたい、と思っている。
それが何なのかはまだオレにも解らない。
心の中に足跡を残すこと、それが答えなのかな?
Posted by 源九郎 at 21時21分